水力発電技術

電動サーボモータ細密点検Float derrick method

水力発電所の電動サーボモータを現地で分解し、点検・試験する技術

中小水力発電所の水車出力を制御する電動サーボモータの細密点検期間は、水車発電機の点検期間より長く、
電動サーボモータ細密点検の大きな制約となっています。
また、各メーカーにより点検項目も異なり、保守の管理項目や障害発生時の迅速な対応ができないなど課題を抱えていました。
そこで、中部電力(株)と共同で、あらゆるメーカーの電動サーボモーターを現地で分解し、点検・試験可能な可搬式装置を開発するとともに、
現地試験方法を確立し、平成20年に特許取得、平成23年には第56回澁澤賞を受賞しました。

現地分解点検のメリット

1
分解点検期間 所要(10日~14日程度)
2
障害発生時の早期復旧対応
3
ブラックボックスの解消 現地での分解点検・試験を現認いただけます。

分解点検の必要性

電動サーボモータは、定期的に(12年~18年)分解点検を計画し、内部の健全性や性能の確認、ベアリングなどの消耗品の交換、経年により劣化したグリスの除去・新グリスの塗布による潤滑性能の回復を行い、運転上問題のないコンディションとする必要があります。

運開後15年で損傷したボールネジ

グリスが石鹸分と油分に分離し粘土状になっています。また、摩耗粉による錆によりグリスが茶色に変色しています。
ボールネジの摩耗は加わる負荷(ネジの定格荷重に対する水車の反力、ラジアル方向への荷重の有無、グリスの状態)により大きく変わります。
延命化のため、必要に応じて中間時期に部品交換を伴わない給脂のための点検にも対応可能です。

ボールネジ

細密点検装置

性能試験装置

開発した試験装置は本体と負荷発生装置からなり、本体はベース、直立水平専用台、油圧シリンダーで構成されます。

性能試験装置
試験成績のトレンド管理

出力データをメモリーハイコーダーに取り込み全ストロークにわたるデータの推移が確認でき、ユーザーが試験結果を管理することで、劣化度の特定や細密点検時期を計画できます。

試験成績のトレンド管理

電動サーボモータ試験装置の仕様

性能試験装置

性能試験装置
試験台サイズ

装置の特徴

1
現地での試験を実現する、4tユニックで運搬可能なコンパクトサイズ
2
トラニオン、クレビス等のモーターブラケットを変更することで、各メーカーの電動サーボモータの取付けが可能です。
3
様々な試験に対応できるよう負荷制御機構を改良した負荷装置で、精度の高い試験を行います。
4
ロードセル変換機の設定値以上になると、負荷を“0”にする安全回路を設けており、誤作動など異常負荷に対して瞬時に反応します。

可搬式細密点検装置開発の概要

特徴

1
可搬式であること
2
試験圧力に耐える剛性を有し、操作が容易なこと
3
各メーカーの性能試験が可能であること
4
分解組立時の作業台として使用できること

全体構成・構造

開発した試験装置は本体と負荷発生装置から構成されています。

図1-試験装置の全体構成

本 体

本体はベース、直立水平専用台、油圧シリンダーで構成されています。
また、各発電所の電動サーボモータ容量と製作メーカーの違いにより、サーボヘッド口径が多種あるため、サーボヘッド部のアタッチメントを作成することにより、試験装置との連携が可能になります。
なお、ベースと直立水平専用台を分割することにより、各メーカーの電動サーボモータの設置や分解組立時の直立・水平姿勢を容易に確保できるよう配慮しています。

図2:直立・水平作業姿勢

(図2:直立・水平作業姿勢)

負荷発生装置

負荷発生装置は、圧力を任意に調整する弁やシリンダーポートを切り替える制御回路、圧力測定値の表示と非常停止回路を設けています。
特に作業員が誤って過大な荷重を掛けた時の異常圧力検出による自動停止回路や異常時の緊急停止ボタンにより、電動サーボモータの損傷を防止し、安全作業を考慮した設計になっています。

図3-負荷発生装置と制御盤

(図3-負荷発生装置と制御盤)

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